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第368回得るは、捨つるにあり

2020年09月06日

日本を代表する靴職人の一人、山口千尋さん。ほとんどの工程を手作業で行うという職人中の職人で、脳裏には常に「挑戦」という2文字が浮かんでいると言います。そんな彼が、イギリスで日本の靴職人としては初の「一流職人」の証である「ギルド・オブ・マスター・クラフツマン」の資格を得たのは26歳のときでした。
しかし、このイギリス留学の前、大手靴メーカーで働いていた山口さんは、ある葛藤を抱えていました。イギリス留学のために退職を申し出ると、会社から1年の休職を進められたからです。そんな時、大きな迷いと葛藤を抱えた山口さんの人生を変える言葉が、尊敬する先輩の口からこぼれました。
それは「辞めればいいじゃないか」と。という言葉でした。
その瞬間、山口さんの脳裏には「得るは、捨つるにあり」という言葉が浮かんだといいます。
これは、「何かを捨てなければ、大事なものは何ひとつ得ることはできない」ということです。つまり、「自分にとって、捨てがたい、大事にしているものを捨てる気があるからこそ、自分にとって本当に大事なものを得ることができる」ということを悟ったのだといいます。
その後、イギリスでの必死な修行生活を経て、一流職人になることができたのは、山口さんが過去の生活すべてを捨てたことがポイントだったのかもしれません。
一般的に「No pain, no gain」、「痛みなくして、得るものなし」ということわざもあるように、何か自分にとって痛みと感じる行為によって、本当に得たいものが得られるということは、人類が過去に得た教訓の一つといえます。
山口さんのように何か大きな分岐点にあるとき、大事なものを手放すことが、大きなものを手に入れる手段なのかもしれません。
加藤

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